松山:歯科医院らしくない小児歯科医院

松山・小児歯科




歯科医院らしくない歯科医院を目指す。住宅のような。
        なぜなら子供が怖がらず、おかあさんにも親しみやすい歯科医院にしたいから。



この小児歯科医院は松山の空港にほど近い周りを田園で囲まれたところに位置している。初めて拝見した時は確か秋のなんとも穏やかな日だったように記憶している。周りには何もない。水田が広がっているだけ。でもそこに田植えが終わり初夏には緑一面の草原のような風景が広がっていることを想像できた。そこには水の上を流れる心地よい風も容易に想像できた。とても気持ちの良い場所だった。

先生にとって独立し始めての医院の建設だ。私も初めての歯科医院設計。経験はない。初めての面談では医師であるお父様やお母様も同席していた。私が選ばれるかどうかは分からない。少し緊張した。先生のお考えやどのような医院にされたいのか等お話を伺った。それに対し私の考え意見を述べさせて頂いた。先生の使い勝手の機能性は最優先し 『心と身体に健康的な建物』 『子供さんの怖がらない住宅の延長のような医院』 『おかあさんも入りやすい雰囲気の建物』 は如何でしょうか? と提案させて頂いた。 それは従来の歯科医院とは違うものかもしれない。

     私にとって未経験のジャンルであり”従来”という概念がない。幸いと呼んでいいのかもしれない。

また、この敷地の持っている素晴らしい自然環境。陽の光・風・視線の抜け。これをふんだんに活かし 「ここに居るだけで心地いい空間を創ってみませんか?」 と話させて頂いた。そこには機能こそ違え住宅の延長のようなじイメージがあった。素材ももちろん自然素材を中心に使い安全で綺麗でさらさらとした空気感をつくり、自然の風が心地よく流れる”風の道”や光が入り込む位置をとらえどこに窓を適切に配置するか等々お話させて頂いた。そしてありがたいことにお手伝いさせて頂けることとなった。

設計中にも先生は先生でどのような内容の小児歯科にしていくのか、目指すべきところはどこなのか真剣に再確認されていた。私にとってもとても大事なことだった。何故ならば建物はそれを実現させるための器だから。最高に適したものでなければならないから。

そのような思いで先生と共につくっていった医院だった。





建築場所    :愛媛県松山市 / 新築 / 小児歯科医院 (たんぽぽ小児歯科)
延べ床面積  :495.87㎡ ( 150.0坪 )
構造規模    :木造平屋  / 在来工法






松山・小児歯科






松山・小児歯科

平家のあまり威圧感のないデザインとした。工事中はレストランですか?と何回も散歩中の人に声を掛けられた。






松山・小児歯科






松山・小児歯科

暖かさと柔らかな雰囲気を醸しだす。






松山・小児歯科

丸窓の明かりが変化と楽しさを演出。






松山・小児歯科









松山・小児歯科

待合室は自然の木をそのまま見せ自然塗料で塗り壁は珪藻土塗。子供さんやお母さんの健康に配慮したつくりとしている。それは安心と暖かさを生み、空気のさらさらとした気持ちのいい空間。丸窓からはいつも青空・星空が見える。
松山・小児歯科

子供さんが楽しく待てるように床の20cm下がったキッズコーナーがある。小さなお子様はまずそこに入って楽しく遊んでいる。待合椅子の壁はコルク壁は ”子供ギャラリー” 子供さんの描いてくれた絵で一杯になるはずだ。できるだけ開放的にするために外が見えるように窓は大きい。






松山・たんぽぽ小児歯科

待合から診察室へとスムーズに入れるように同じ空間の延長のように配慮した。天井の三角の部分には透明のアクリを使い天井の連続性を演出する。また正面に縦長の窓と上部に丸窓を配置することにより視線の抜けをつくる。外には十分な緑を配し診察室に入るときに自然に目に入るようにしてある。子供たちが診察室に入るときの不安感を少しでも和らげてくれると嬉しい。






松山・たんぽぽ小児歯科

診察台に乗る時が大人でも一番怖い。少しでも和らげるために診察台の正面には床下まである透明な窓で壁をくり抜き外が見えるようにしている。そこには自然な田園風景が広がっている。遠くには通いなれている小学校も。。。

松山・たんぽぽ小児歯科

診察室に配置している縦長の窓は上下二段に分けている。自然の風を採りこみやすくするためだ。床に面している窓からは足元に涼しい気持ちいい風を送ってくれる。丁度いなかの家の座敷にある地窓と同じだ。もちろん診察室も自然素材でつくっている。